Classici giapponesi con furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Leggi 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.496 caratteri · 368 schermate
「ひそやかな生活、結構でござるな」
「人が少のうございますので」
「お嬢様かな、背後におられるのは」
「はいさようでございます」
「ご主人ご夫婦に娘ごにそなた、下女一人に下男一人――といったようなお生活ではござらぬかな」
「よくご存知、さようでございます」
薄気味悪いというように、乳母は武士をジロジロ見た。
「アッハッハッ」
と、武士は笑った。
「ナニさ商売道によって賢く、猫の蚤とりのこの業で、諸家様へ立ち入り立ち寄りますので、自然家族の多寡有無、知られ感じられるというまでで。……薄痘痕のある四十男など、ご家内中にはおりますまいな?」
「え、何んでございますって?」
「アッハッハッ何んでもござらぬ。……もうよかろう、蚤とれた筈じゃ」
云い云い武士は猫を包んだ皮の、一方の端へ手をかけた。
濡れている猫の毛に住んでいる蚤が、乾いている猫の皮へ住居を移す。これはありそうなことであり、この理を商売化したものが、すなわち「猫の蚤とり」なのである。
蚤を移らせた猫の皮を、巻物のように細く巻くと、武士はそれを帯へ差し、いくらかの鳥目を戴いて、その家から外へ出た。
「蚤とりましょう、猫の蚤とり!」