Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Leggi 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 327.364 caratteri · 638 schermate

Aozora Bunko

「なに、これ。」

銀子は洋服の釦が花に見え、微かに言ったが、医師には通ぜず、

「晴子は可愛い子だよね。」

と額を撫でた。

若林とお神は、次ぎの六畳で何か私語いていたが、お神はやがて箪笥のけんどんの錠をあけ、銀子の公正証書を取り出して来て、目の先きで引き裂いて見せた。

「お前これで何も心配することはない。芸者では死なない死なないと言っていたでしょう。この通り証文を引き裂いたから、お前はもう芸者じゃないよ。安心しておいで。」

お神はそう言って涙を拭いたが、昏睡中熱に浮かされた銀子は、しばしば呪いの譫言を口走り、春次や福太郎が傍ではらはらするような、日常肚に畳んでおいたお神への不満や憤りを曝け出したりしたので、九分九厘まで駄目となったこの際に、心残りのないように、恩怨に清算をつけるのだった。

銀子の譫言も、こんな家にいたくないから、早く田舎へやってくれとか、ここで死ぬのはいやだから、外へ連れ出してくれとか、そこに姐さんがいるから、早くそっちへ退けてくれとか、そうかと思うと、役者の名を口走ったり、芸者の身のうえを呪ったりするのだったが、親の使いでよく明日の米の代を取りに来た妹に言うらしく、気をつけて早くお帰りなどと、はっきり口を利くこともあった。