Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Leggi 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 327.364 caratteri · 638 schermate

Aozora Bunko

庸三は騒がしい風の音を聴きながら、葉子の帰るのを待ち侘びていた。憂鬱な頭脳の底がじゃりじゃりするようで、口も乾ききっていた。彼は肉体的にも参っていた。

帰って来た葉子の目が潤んでいた。

「そのくらいのことは赦してもいい。」

庸三は仕方なしそういう気持にもなれたが、しかし葉子は否定した。

「あの人もう私をすっかり他人行儀の敬語を使ってるくらいよ。――私に千円くれたの。私貰って来たわ。秘密にしてね。」

「銀行へ預けときたまえ。」

「そうするわ。」

そうしたのか、しないのか、庸三は金のことに触れようとしないのであったが、大分たってから思い出して聞いてみると、もう一銭も残っていなかった。もちろん貰って来た翌日、少し買いものをしたので、さっそく手のついたことだけは解っていたが。

松川を東京駅へ送って行ったのは、その翌日の朝であったが、庸三にも、ちょっと見送ってくれないかと言うので、一緒に行きは行ったのだったが、彼は何か照れくさくもあったし、葉子も少し気持がかわって一人でプラットホームへ上がって行った。

「子供をせめて一人だけ私にくれてくれられないかと私言ったのよ。