Classici giapponesi con furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Leggi 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 327.364 caratteri · 638 schermate
「今度どこで逢うのさ。」
「どこか水のあるところがいいようなことを、あの人も言っていたけれど……。」
葉子は画家の草葉と恋に陥ちて行ったとき、夜ふけての水のうえに軋む櫓の音を耳にしながら、楽しい一夜を明かしたかつての思い出のふかい、柳橋あたりの洒落れたある家のことをよく口にしたものであったが、今度も多分その辺だろうかとも思われた。
「ちょっと見せてごらん。」
庸三はそう言ってその文を取ってみたが、場所はそれと反対の河岸で、家の名も書いてあった。それに文句が古風に気障で、「ようさままいる」としたのも感じがよくなかった。庸三は案に相違して、むしろ歯が浮くような厭味を感じた。
「一つそっとその家へ上がって見てやろうかな。」
庸三は笑談らしく言ってみた。
「ええ、来たってかまわないことよ。」葉子は平気らしく言って、やがて立ちあがった。
「何時ごろ帰る?」
「十時――遅くも十一時には帰って来るわ。」
彼女は指切りをして降りて行った。
庸三は空虚な心のやり場をどこに求めようかと考えるまでもなく、いつも行きつけの同じ大川ぞいの小夜子の家へタキシイを駆るのであった。するとちょうど交叉点のあたりまで乗り出したところで、その辺を散歩している長男と平田青年とに見つかって、二人はいきなり車に寄りついて来た。