Classici giapponesi con furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Leggi 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 327.364 caratteri · 638 schermate
た。しかし葉子が彼の部屋で、せっせと針を運んでいるの見ていると、何か苛立たしいものを感じるのだった。
葉子は静かに白い手を動かしていたが、しんみりした声で言いだした。
「今になってみると、よくここまで来たものだと思えてならないわ。私こうなるはずじゃなかったんですもの。自分の気持がはっきり見えるのよ。」
庸三はその瞬間はっとした。誰とも知れない彼女のなかにあるものが――背後の影が仄かに感じられて来た。
「僕がここまで引き摺って来たというんだろ。」
「そうじゃないのよ。私は結果を言ってんのよ。」
「そう、解ったよ。じゃ別れようよ。」
しかしそのままに過ごした夜も更け、遠近におこる百八煩悩の鐘の音も静まってから、縫いあがった洋服を着てみせて、葉子も寝床へ入ったのだったが、庸三は少しうとうとするかと思うと、また目が冴えだして、一旦葉子の態度で静まりかけていた神経が、今度は二倍も三倍もの力で盛りかえして来るのだった。彼は床をはねおきると机の前へ来て坐った。葉子も目をさまして、彼の坐っているのに気づいて、白い手を伸べた。
「なに怒ってるのよ。寝てよ。意地悪ね。」
「早く下宿へ行って寝たまえ。