Classici giapponesi con furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Leggi 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 327.364 caratteri · 638 schermate
ある時も、庸三はアパアトを訪ねてみた。町はもうすっかり真冬の気分で、街路樹の銀杏に黄金色の葉の影もなかった。葉子の計画も惨敗におわり、立て直そうとした小説道への精進も挫けたとなると、彼女の運命も庸三の手には支えきれなかった。
「もういませんか。」
薬局に就いてきいてみると、その日も葉子は不在であった。部屋の空気が険悪になって、互いに苛々しい気持に駆り立てられ、激しい言葉を投げ合って別れてから、一週間になっていた。庸三は最近時々一緒に飯を食べたり、お茶を呑んだりしていた、藤子をその時もつれていた。
「もう居ませんよ。」
主人は答えたが、いつになくにこにこして、
「いや、どうも梢さんはいけませんよ。あの人は先生のような方がしっかり監督なさらないと、何をするか解りませんな。」
「何かやってますか。」
「それは解りませんけれど、どうもあの人は普通ではありませんね。」
「敷金は持って行きましたか。」
「いや、後で取りに来るとおっしゃって。」
「じゃあ、僕がもらっておきましょう。」
大した金でもなかったが、この期になって彼はそれが惜しくなった。預り証もちょうど紙入れのなかにあった。