Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すさのおのみこと

素戔嗚尊

芥川 竜之介

Leggi 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.917 caratteri · 86 schermate

Aozora Bunko

が、追い追いその沈黙が、妙に苦しくなり始めたので、とり敢えず話題を開拓すべく、目前の馬を指さしながら、

「好い馬だな。持主は誰だい。」と、まず声をかけた。すると意外にも若者は得意らしい眼を挙げて、

「私です。」と返事をした。

「そうか。そりゃ――」

彼は感嘆の言葉を呑みこむと、また元の通り口を噤んでしまった。が、さすがに若者は素知らぬ顔も出来ないと見えて、

「先達あの勾玉を御預りしましたが――」と、ためらい勝ちに切り出した。

「うん、渡してくれたかい。」

彼の眼は子供のように、純粋な感情を湛えていた、若者は彼と眼を合わすと、慌ててその視線を避けながら、故に馬の足掻くのを叱って、

「ええ、渡しました。」

「そうか。それでおれも安心した。」

「ですが――」

「ですが? 何だい。」

「急には御返事が出来ないと云う事でした。」

「何、急がなくっても好い。」

彼は元気よくこう答えると、もう若者には用がないと云ったように、夕霞のたなびいた春の河原を元来た方へ歩き出した。彼の心の中には、今までにない幸福の意識が波立っていた。河原蓬も、空も、その空に一羽啼いている雲雀も、ことごとく彼には嬉しそうであった。