Classici giapponesi con furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Leggi 自警録 (じけいろく) di 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 168.224 caratteri · 328 schermate
人とともにこの世を渡るには、おだやかに意気地ばらずに、譲り得るだけは譲るべきものと思う。僕のしばしば引用する『菜根譚』には、
「径路窄きところは、一歩を留めて、人に行かしめ、滋味濃かなるものは、三分を減じて人に譲りて嗜ましむ、これは是れ、世を渉る一の極安楽法なり」と。
また、
「世に処するには一歩を譲るを高しとなす、歩を退くるは即ち歩を進むるの張本」
といい、世渡りの秘訣は人に譲るにあることを繰り返してあるが、実にその通り。自分の権利を最大限度に要求することははなはだ卑劣に陥る所以と思う。不思議なもので、人生には理屈をもって説き得られぬことがたくさんある。沙翁の言にも、
「世の中には君の小さき哲学の夢にだも思わぬことが多い」
と、昔時の物語にもある通り、出来るだけの力をもってなるべく多く握らんとすれば、かえってわずかの分量しか手に入らぬ。やわらかく握るほうがかえって多く握れる。これはむろん攫む工合いにもよりけりであるが、ここに述べたのは粟とか米とかの例に用いたものである。鉄棒とか金棒とかならば、また例を変えねばなるまいけれども、恐らくこの世における幸福なるものは粟、米のごときもので、やわらかく握ったほうが余計に攫み得るものではあるまいか。