Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(二)八人芸の女

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.562 caratteri · 291 schermate

Aozora Bunko

船の中は、酔ってないのは二人の船頭だけ、七輪は仲間の勝造が預かって、たそがれと共に、際限のない乱酔に落ちて行きそうでした。

しばらく濃くなる夕闇――それも存分に灯が入ると、飲んで騒ぐ分には、何の煩いもありません。

大村兵庫、この上もなく満足でした。喰らい肥った三十二歳の巨体を、傍若無人に芸妓の膝に凭せ、左手に挙げた朱塗の大盃を半分乾すと、

「ホーッ」

と息を継ぎます。

「殿様、卑怯千万。敵に後ろを見せるという法はございません。グッと、グッとお乾し遊ばして。お流れは、へッ、この私が頂戴仕ります」

幇間が中腰になって、泳ぐような手付きをするのでした。

「武士に向って卑怯、――とは聞捨てにならんぞ。卑怯や臆病で休んでいるのではない。酒が切れて、お燗番の勝造が眼を白黒させているではないか――三吉はまだ戻らぬか」

「もう、追っ付け戻りましょう」

用人の村川菊内は少し苦々しいのを我慢して、精一杯合槌を打っております。この辺で御意に逆らうと、いきなり「――仲へ行けッ――」と言い出さないものでもありません。

「大分手間取るようだな。ところで、月はまだ出ぬか、真っ暗では花見も一向興がない」