Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(五)金の鯉

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(五)金の鯉 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 136.062 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

九

「何、何?」

九

それから一刻(二時間)ばかり後。

銀流しのお六は、筋違見附外の、薄暗い塀の蔭に立っておりました。

「銀流し屋さんかい」

どこからともなく現れた一人の女、薄暗がりの中で、顔は見えませんが、洗練された声が、妙に人なつかしく響きます。

「ヘエ――、御新造様、お簪は確かに持って参りました」

「有難う、それでは引替えにお代を上げますよ。それからこれはお駄賃」

「まア、こんなに沢山、どうも有難う存じます」

小腰を屈めたお六の後ろへ、ヒラリと廻ると、女の左手は後ろから前髪に掛りました。

「あッ」

実に非凡な強力。

悪党がっているお六も、抗う力もなく首を延し上げられて、左の小脇にかい込まれると思う間もなく、薄月に閃く銀簪、あわやお六の右の眼へ――。

「えッ」

どこからともなく飛んで来た銭が一枚、怪しい女の振り上げた肘をハタと打ちました。

「あっ」

簪は下に落ちて、砂利の上にチャリンと鳴ると、怪しの女はお六を突き飛ばしてサッと五六歩、闇の中へ。

「待て、御用ッ」

追いすがった十手は、発止と女の肩を打ちました。

*

平次の手に捕えられた怪しの女は、踊りの師匠のお才だったのです。