Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
つけ、かねて用意の女串で突き刺す、というぐあいにやるのであった。捕れるのは鰈が多く、あいなめとか、夏になるとわたり蟹なども捕れるが、蟹の場合はべつに心得があった。
「この砂だよ」と、富なあこは、踏んだ魚を女串で刺し、魚といっしょに砂を掴みあげて、魚を魚網へ入れ、砂を掌でもてあそびながら云った、「――こうやってみると、なんでもねえ、ただの砂だ、ただ砂だってだけだ、ほれ、これだけのもんだ、なあ」
「うう」と云って倉なあこはあたりを眺めまわした。
空はきれいに晴れ、十七夜の月が、殆んど頭上にあった。海面には極めて薄く靄がかかっているようで、それが月光を吸い、どちらを見ても青白い、夢幻的な光が遍満していた。こんな晩は同じように、魚を踏みに来ている者が幾組かあるのだろう。どこか遠くで、ときたまかすかに人の声がするが、姿は見えないし、どっちから聞えて来るかも、はっきりはわからなかった。
「ところがおめえ」富なあこは水の中を静かに歩きながら、まだ掌にのせている砂を見て云った、「これはこんなふうに砂っ粒だけみてえに見えるけれど、これでそうじゃあねえ、これでちゃんと生きてるんだぜ」