Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
すると、穏やかな返辞をしながら、その人が出て来た。年はもう七十に近い筈だが、ずっと若くみえるし、柔和な顔だちには明らかに見覚えがあった。長が説明をし、私もまた話した。彼女はあいそよく挨拶はしたが、私のことを思いだしたようすはなかった。
「あがって茶でも飲んでくんなよ」と長が云った。
「いや、それよりも沖の百万坪へいってみたいんだ」と私は云った、「ずいぶん変ったようだが、まだ沼や荒地はあるだろうか」
「家がどっさり建っちゃったよ」と長が云った、「見にゆくんならおらが案内すべえか」
「しょうばいのほうはいいのかい」
「店のほうは番頭がいるからいいだよ」そして長は母親に振り向いて云った、「ちょっと百万坪までいってくんからな」
私もまた「あとで寄ります」と断わって、千本の店を出た。
東へ通ずる堀の、以前よりも根戸川へ寄ったところに、高い橋が架かっていた。その堀の両岸にも、やはり防波堤があり、橋は高いので両端は石段で登るようになっていた。キティ台風のときひどくやられてから、そういうふうに波除けを作ったのだという。――その橋を渡り、根戸川の河岸に出て、川下のほうへくだると、すぐ左側に石灰工場があった。