Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あおべかものがたり

青べか物語

山本 周五郎

Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate

Aozora Bunko

或るとき私は写生帳を持って、町の中央部にある、中堀橋を渡っていた。すると、向うからその男が来るのを認めた。彼はやはり袖なしの半纏をひっかけ、雪駄ばきで、口に飴を咥え、飴に付いている杉箸のような物を、両手で挾んでくるくる廻しながら、いかにも暢気そうな、この世に心配なことはなにもない、と云いたげな顔つきで、ふらふらと歩いて来た。そうして、私が片方へよけている狭い橋の上を通りすぎるとき、彼はなにかのオペラの中のアリアを、鼻で、かなり正確にうなっていた。

私の問いに対して、「千本」の長は軽蔑したように、鼻柱へ皺をよらせた。

「うちは堀で魚屋をやってるだ」と長が説明した、「水汲みばかっていうだよ」

私はまた訊いた。

「そうじゃねえ、ずっとあとだ」とこの小学三年生は云った、「蓄音器のよ、レコードを買い始めたべえ、いくらでも買うだ、二階がみしみしいうほど買って買ってよ、朝っから晩までそれを聞いてるだよ、そのうちにな、レコードの数が殖えるのといっしょに、だんだん頭がおかしくなってきたんべえ、それでよ、嫁を貰ったら治るべえかって、葛飾のほうから嫁を貰ったっけだ、そしたら頭あちっとも治らねえで、水汲みい始めただ」