Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
そのうちに、堤のほうから叫び声が聞え、見ると、「千本」の長が走りながらどなっていた。
「岸へ着けろま」と走りながら長は私に呼びかけた、「岸い着けるだよ先生、そんなことしていると海いいっちまうだぞ」
私もそうしたいのだ。そうするために汗みずくになっているのだが、青べかは頑としてきかないのである。
――この、このろくでなしの……。
そう云いかけて私は口をつぐんだ。
子供たちのほうが正しかったのだ、このぶっくれ舟は手ごちに負えないあばずれの、まぬけで能なしで、恥知らずな物躰だったのだ。まさに「青べか」だったのだ、と私は思ったが、それでもまだ、そういう気持を彼女にぶちまけるのは控えることにした。
「はあ――流されてるだ」と堤の上を走りながら長が叫んでいた、「先生のばかやつら、いいきびだ、流されてるだ、ええばかやつら」
私は鼻の奥が熱くなるのを感じた。
「いいきびだ、わあい」堤の上を、こちらの舟といっしょに、走りながら、泣き声で長が叫んでいた、「先生のばかやつら、ええ流されてるだ、海まで流されるだ、ばかやつら、いいきびだ、わあい」
それは小学三年生の愛情の表現だった、などと私は云いたくはない。