Classici giapponesi con furigana
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あおべかものがたり
青べか物語
山本 周五郎
Leggi 青べか物語 (あおべかものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.961 caratteri · 317 schermate
と叫んでいるけれども、彼を創り出したところの私自身はこごえて、空腹で、蒸気河岸まで一杯の酒を飲みにゆく金もなく、一片の炭もむだには使えないことを思って、肩をちぢめたまま、茫然と雨の音を聞いていた。
私は時計を持っていなかったが、およそ十一時をまわったころであろう、蒸気河岸のほうからこっちへ、土堤の上を近づいて来る人ごえを聞いた。
「十台島の連中だな」と私は呟いた、「ごったくやで遊んだ帰りだろう」
さして強い降りではなかった。庇と窓の雨戸をひっそりと打つくらいで、近づいて来る人の話し声はかなりよく聞え、まもなくそれが十台島の若者たちではなく、よそから来た人びとだということが、会話の調子でわかった。
「――を持って来たか」としゃがれた男の声がどなった、「源、おめえ持ってるか」
「下駄がぬげちゃった」と幼い女の子が泣き声で叫んだ、「あたい下駄がぬげちゃったよ、かあちゃん」
「おぶってやれ」とべつの男の声がした。
はだしの者もいるらしく、ぴしゃぴしゃと雨水を踏む音がした。かれらはひどくいそいでいるようで、ふっと声が跡切れ、すぐにまた女の声が聞えた。
「どっちへゆくのよ、親方」