Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
もはや一文の金も懐中にはない。女房はくるりとふりむき別室へ駈け去って泣く、泣きながら翌朝のオミオツケのタマネギをきり又なく。宿六がこれ女房よと呼びかけても返事をしない。
この悲痛をもとより彼は見逃がしていない。彼はむしろ女房よりも貧苦がせつなく、借金が悲しく、子供の学費が心にかかっているのだ。けれども彼の作品が根柢的にその現実と絶縁に成功すると同様に、彼の現実に於ても、その絶縁に成功しなければ彼はもう身の置き場もない。彼は借金とりをラ・マンチャの紳士の水車の化け物に見たてて戦い、女房の妹を口説いてもトボソのダルシニヤ姫になぞらえる。孤高の文学だの、遊吟詩人の異色文学だの、彼の作品の広告のきまり文句を全然信じていないくせに、俺はそういうものだと胸をそらして思いこむことに成功する。
根柢に現実の根とまったく遊離した作品世界に遊びながら、その偽瞞に気づかぬどころか、現実のうわべだけを作中世界に似せ合わせることに成功することによって、彼は益々自作の熱愛読者となり、自作に酔っぱらい、わが現身の卑小俗悪を軽蔑黙殺することに成功した。彼はもうイヤでも自分の作品に酔っぱらわなければ、この現身の息苦しさに堪え生きていられないのだ。