Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate

Aozora Bunko

地平さん真杉さんは、正月藤井のおばさんの家で高木の妹に紹介されたというのである。

「あの人は十八、九ですか」

地平さんは私に訊く。私は忘れていた昔を歴々思いだし、成程と思った。

「あっはっは。今でもそんな齢に見えますか。もう三十ぐらいです」

「わあ。驚いたなあ」

「あら、羨しい。ずいぶん得な方ですわね」

と真杉さんも感に打たれている。同性の小説家もやっぱり十八、九だと思ったそうだ。

私は近頃切支丹の書物ばかり読んでいる。小田原へ引越す匆々三好達治さんにすすめられて、シドチに関する文献を数冊読んだ。それから切支丹が病みつきになり、手当り次第切支丹の本ばかり読む。パヂェスの武骨極まる飜訳でもうんざりするどころか面白くて堪らないのである。

文献を通じて私にせまる殉教の血や潜伏や潜入の押花のような情熱は、私の安易な常識的な考え方とは違うものを感じさせ、やがて私は何か書かずにいられないと思うけれども、今は高潔な異国に上陸したばかりのようで、何も言うことが出来ないのである。

内藤ジュリヤ。京極マリヤ。細川ガラシャ。ジュリヤおたあ。死をもって迫られて尚主を棄てなかった婦人達。