Classici giapponesi con furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
「知らないね」
凡そ愚劣な、とりとめのない話ばかりである。第一、女自身、何を喋っているのだか、鼻唄をうたっているのと変りがなくて、喋らないわけにも行かないから、何となく喋っているだけのことなのである。私が又、まったく同様であった。むしろ言葉の通じない方がどれくらいアッサリしてよろしいか分らないのだ。
女の顔はいつも笑っている。ひどく優雅で上品な顔なのだが、よくまアこんなにハリアイのない心なのだろう、と、私は女の笑い顔を見ていつもそればかりしか考えないが、女は又馬耳東風でただ笑っているだけのことである。
「黄河の脚本、かいた?」
「書かないよ」
「なぜ?」
「書く気にならないからさ」
「私だったら、書く気になるけどな」
「あたりまえさ。君はムダなことしかやれない女なのだ」
女は馬耳東風だ。ただ、相変らず微笑をうかべているだけ。人の言葉など、きいてやしないのだ。何も考えていないのだ。
私は然しその魂をいじらしいと思っていた。どん底を見つめてしまった魂はいじらしい。それ以外には考えられない当時の私であった。
だから私は荒正人や平野謙を時々ふいに女の笑顔を眺めながら思いだしていた。