Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Leggi 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.879 caratteri · 242 schermate
特別私が忘れないのは荒正人の「石に噛りついても」というまるで歯ぎしりするような口に泡をためた表現と、二十円の箪笥のいくつかを今にも蒲田へ駈けだして買いたそうな精力的な様子とで、荒君はほんとにそういうものが後日役に立つ生活を自信をもって信じている。この女のハリアイのない微笑とは全く逆で、それは全く、私にとっては思いがけない世界であった。
私はこう思った。荒君、平野君らはどうも小説の中の人物に良く似ている。だいたい、小説を読みすぎる連中である。ああいう考え方や言い方は、現実的であるよりも、小説的で、彼等の足は土をふんでいるのでなしに、トルストイとかドストエフスキーとかを踏んでいるのではないのか。彼等はいったい女房とどんな話をし、私には彼等が女房に言う言葉は分るけれども、女房の方の返事はどうだろう?
尤も、荒君、平野君ばかりではない。小説家、批評家、インテリの多くは地方へ疎開して、日本の最後の運命を待ち、自分の生命を信じている。
けれども狭い日本のことで、どこへ逃げてみても、第一どこから敵が上ってくるのだか、それすらもしかとは分らない。私には、どうも荒君の確信が不思議でならなかった。