후리가나로 읽는 일본 고전
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
吉川 英治의 剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 150,635자 · 306화면
八
しかし――そうは答えても、決して心は平静であり得なかった証拠には、もう乾きぬいて、風にも剥がれかけている貼板の物を――さすがに彼女も二晩ほど仕舞い忘れていた。
もっとも、次の日、また次の日と、客はたえまもなかった。良人の親友であり、また浅野家の藩医でもある寺井玄渓が、父子して来るかと思えば、めったに見えたこともない伊藤仁斎の子息東涯が来て、見舞ってゆく。
台所へ来る商人から、外で会う近隣の人々まで、彼女を見れば、そのはなしだった。ことば尽して、慰めもし、見舞いもしてくれるが、もうその心の裏には、
(急に、これから、御浪人となって、どうして暮してゆくんですか?)
と、探るような世間の通有性も、そろそろ彼女の顔いろを、姿を見まもり出していた。
「――おらるるかの、於丹どのには」
「おお、十兵衛様でございましたか。さ、どうぞ」
「花も散ったが、お門辺は箒目立って、いつもおきれい。部屋も縁も、艶々と明るう、御主人が留守とも見えぬ。……いや、陰膳まで」
と、客は、床へ眼をやって、沁々何か感じ入っている。
十内の従兄弟で、京都の町与力を勤めている同姓の人、小野寺十兵衛だった。