후리가나로 읽는 일본 고전
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
吉川 英治의 剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 150,635자 · 306화면
日本名婦伝
一
一
木も草も枯れ果てて、河内の野は、霜の白さばかりが目に沁みる。
世は戦に次ぐ戦であった。建武の平和もつかの間でしかなかった。楠木正成、弟正氏たち一族の夥しい戦死が聞えた後も、乱は熄まなかった。山は燃え、河はさけび、この辺りを中心として、楠氏の軍と、足利勢との激戦は、繰返され繰返されて、人皆が、冬野の白い枯木立のように、白骨となり終らなければ熄まないかに思われた。
「……何として近づこう」
ひとり野を歩いて行く男は考えていた。
足利方の大将山名時氏の家来で、漆間蔵六という者だった。蔵六の顎にも霜が生えていた。五十がらみの武者である。
蔵六はしかし武者いでたちはしていない。薬売りの持つ旅つづら一つ担って、それに似合う下人の脛当を着け、野太刀ひと腰さしていた。
「おや。……輿が行くぞ。女人のお輿らしいが」
冬木立の間を駈けぬけ、遽に、野の一すじ道へ急ぎ出した。
彼が、大声して、手を振ったので、先を行く輿は、
「何者?」
と、止まったが、同時に、それを守る七名ばかりの郎党は、怪しみの眼をそろえて、長巻刀を向けたり、弓に矢をつがえかけたりした。
蔵六は、次にまた、怪しい者でない由を呶鳴り立てた。