후리가나로 읽는 일본 고전
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
吉川 英治의 剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 150,635자 · 306화면
十
政子は、かえって、機嫌よかった。静をさしまねいて、卯の花重ねの御衣を、きょうの纒頭ぞと云って与えた。
静は、舞が終るとすぐ、わき見もせず、清経の邸へ帰った。――そして馳けこむように、乳を待つわが子の部屋へ這入ったが、わが子は見えなかった。
「……和子よ。和子よ」
老母の答えもない。いや、灯火もない一室の隅に、磯の禅師は、喪心したようにすすり泣いていた。
「和子は、どうなさいましたか。――お母様、わたしの和子は」
「…………」
老母は、ただ泣いて、遠い海鳴りのする夜空を指さすばかりだった。
「――げっ。では……では和子さまを」
「武者たちが、海のほうへ、引っ攫うて行った。――鎌倉殿のおいいつけじゃと」
十二
水と空の界だけが、ぼっと夜明けのように明るいだけだった。夜の海は、真っ暗に吠えすさんでいる。常でも浪の激しい由比ヶ浜に、こよいは風がある。
「和子ようっ。――和子ようっ」
痛む乳を抱きしめた水干の舞姫は、沖へ向って声をからしていた。浪に漂う木片や芥を見ては馳けて行った。しぶきを浴びて、走り狂った。
松明を振って追って来た人々の中に、安達清経もいた。わが子の後を追って死のうとする静を抑えて、遮二無二連れ帰った。