후리가나로 읽는 일본 고전
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
島崎 藤村의 夜明け前(よあけまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 205,629자 · 408화면
招かれて行った吉左衛門は、一風呂よばれたあとのさっぱりとした心持ちで、広い炉ばたの片すみから二階への箱梯子を登った。黒光りのするほどよく拭き込んであるその箱梯子も伏見屋らしいものだ。西向きの二階の部屋には、金兵衛が先代の遺物と見えて、美濃派の俳人らの寄せ書きが灰汁抜けのした表装にして壁に掛けてある。八人のものが集まって馬籠風景の八つの眺めを思い思いの句と画の中に取り入れたものである。この俳味のある掛け物の前に行って立つことも、吉左衛門をよろこばせた。
夕飯。お玉は膳を運んで来た。ほんの有り合わせの手料理ながら、青みのある新しい野菜で膳の上を涼しく見せてある。やがて酒もはじまった。
「吉左衛門さん、何もありませんが召し上がってくださいな。」とお玉が言った。「吾家の鶴松も出まして、お世話さまでございます。」
「さあ、一杯やってください。」と言って、金兵衛はお玉を顧みて、「吉左衛門さんはお前、苗字帯刀御免ということになったんだよ。今までの吉左衛門さんとは違うよ。」
「それはおめでとうございます。」
「いえ。」と吉左衛門は頭をかいて、「苗字帯刀もこう安売りの時世になって来ては、それほどありがたくもありません。