후리가나로 읽는 일본 고전
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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 孤島の鬼(ことうのおに)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 181,795자 · 359화면
はしがき
はしがき
私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白になっている。この様な不思議な人間が外にあろうか。嘗て白頭宰相と云われた人にも劣らぬ見事な綿帽子が、若い私の頭上にかぶさっているのだ。私の身の上を知らぬ人は、私に会うと第一に私の頭に不審の目を向ける。無遠慮な人は、挨拶がすむかすまぬに、先ず私の白頭についていぶかしげに質問する。これは男女に拘らず私を悩ます所の質問であるが、その外にもう一つ、私の家内と極く親しい婦人丈けがそっと私に聞きに来る疑問がある。少々無躾に亙るが、それは私の妻の腰の左側の腿の上部の所にある、恐ろしく大きな傷の痕についてである。そこには不規則な円形の、大手術の跡かと見える、むごたらしい赤あざがあるのだ。
この二つの異様な事柄は、併し、別段私達の秘密だと云う訳ではないし、私は殊更にそれらのものの原因について語ることを拒む訳でもない。ただ、私の話を相手に分らせることが非常に面倒なのだ。それについては実に長々しい物語があるのだし、又仮令その煩しさを我慢して話をして見た所で、私の話のし方が下手なせいもあろうけれど、聞手は私の話を容易に信じてはくれない。