후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,758자 · 383화면
「退けーッ。陸へ退がって、敵の奴輩を、寄せては叩け、寄せては突き伏せろ」
斎藤勢のあいだから振り絞るような号令が響いた。これは早くも味方の中川勢が敵のうしろへ迫った証拠と高山隊も見て、
「突け、突け、突けッ!」
「息つかすな」
と、対岸へ退く敵のしぶきをかぶって、追撃の槍を一斉にそろえた。
川口に近いこの辺には藪もない。湿地に続く湿地帯であった。それだけに、いちど退き足となると、防禦物もなく、事実上総崩れとならざるを得なかった。
馬が駈け渉る。旗じるしが突き進んで来る。高山右近の隊も、ほとんど、北岸へのぼり尽した。
この頃、西陽はようやく傾いていた。たそがれ迫る茜の雲は、悽愴な夕空の下に、喚き合う真ッ黒なかたまりとかたまりを照らしながら、寂寞と、ひとり夜空のたたずまいを整えるに他念がない。
ここでもまた、約半刻にわたる激烈な戦いが繰り返された。いちど崩れるかと見えながら、また取って返して、沼地や灌木地帯の足場の悪い所に立ちながらも、なおよく防ぎ戦う斎藤勢の粘りづよさには、驚くべきものがあった。
ここばかりではない。
阿閉貞明の隊といい、明智茂朝の隊といい、総じて明智勢のうえには、一種不気味なる死に物狂いがあった。