후리가나로 읽는 일본 고전
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
吉川 英治의 剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 150,635자 · 306화면
十
「何用だろう?」
善鬼はひどくその重臣の訪問に気をつかって云う。船頭の家に生れたせいか、彼は今もって、官職権門などに対して、盲拝的な庶民根性をもっている。口では何かと大きなことばかりいいながら、折があれば自分の生涯のうちにはそういう身分に伍してみたいという幼稚な望みを抱いていた。
いま江戸は、開府創市の機運にあい、どこもかしこも埋立てるやら屋敷や町家をたてるやら、また道路や橋工事などに、埃だって、殷賑をきわめていた。
秀忠の居府となすべく、その大改築にあたり、江戸城には近頃、駿府から家康も来てさしずしているという。
そういう中であった。
「先生、徳川家の臣が、何のお使いに参ったのですか」
善鬼はよほど気になるらしく、一刀斎に、二度もたずねた。
「なんでもない」
一刀斎は、薬を服むときのような顔して、その顔を横に振る。
数日たつと、北条安房守がまた訪れた。安房守は、秀忠の兵学師範をしている。このときも密談で、善鬼は何も聞けなかった。
「典膳、おぬしは聞いたろう。茶を運んでいたから」
「いや、何も聞かぬ」
「うそ云え。聞いたにちがいない。安房守は、何しに来たのだ。