후리가나로 읽는 일본 고전
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
吉川 英治의 大岡越前(おおおかえちぜん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 218,436자 · 437화면
虫の音しぐれ
悔いは、かれの良心をさいなんだが、お袖との逢引は、苦しむほど、悪を伴なって偸むほど、楽しさ、甘さを、深くした。
市十郎も、嘘をおぼえ、悪智をしぼり、教養を麻痺せしめ、あらゆる惑溺を、急速にして行った。極道にかけては、ずっと先輩の亀次郎にも舌を巻かせて、かれはお袖との恋一つ抱いて一気に堕落のどん底まで行ってしまうかとさえおもわれた。
虫の音しぐれ
ところが、幸か不幸か、大岡市十郎がお袖と知りそめた翌年、一族の亀次郎の家庭に、兇事が起った。
いや、同姓の大岡十一家に、みな難のかかって来た事件だった。
それは、亀次郎の父、大岡五郎左衛門忠英が番頭の高力伊予守を、その自邸で政治上の争論から打果したのである。五郎左衛門も、その場で、伊予守の家来に、斬り殺されてしまったが、不埒とあって、家名は断絶を命ぜられた。
親戚の他の大岡十家も、みな閉門謹慎の厄に会った。
市十郎の養家、大岡忠右衛門の家も、まぬがれなかった。家族みなが、共にかたい禁足である。どんな恋も、この厳戒の眼と、この鉄扉は破り得なかった。
この期間――閉門一年四ヵ月のあいだに――市十郎はわれに返った。