후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
小出 楢重의 小出楢重随筆集(ならしげざっぴつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 334,351자 · 657화면
真夏の昼、蝉の声を樹蔭に聞きながら本堂の縁側に憩いつつ内陣の暗闇を覗くと、この女の黒髪が埃をかぶってその幾束かが本尊の横手の柱から垂れ下っているのを見るとき、いとも冷たい風が私の顔を撫で、私の汗は忽ちにして引下るであろうところの妖気を感じるのである。私はこの不気味を夏の緑蔭に味わうのが好きである。そこには女一代の古びたるフィルムの長尺物を感じることさえ出来る。
さて、近代的交通機関とその宣伝の行届く限りの近郊風景は悉くこの黒髪の妖気と閑寂なる本堂の埃と暗闇の情景を征服して、寺といえども信貴山となり生駒となり六甲となり、電燈とケーブルと広告と三味線と、ニッカボッカとルナパークと運動会の酒乱と女給と芸妓と温泉の交響楽を現しつつある。
妖気も緑葉も、珍鳥も、神様も、人間の目算にかかっては堪まらない。彼らは一つ向うの山々へ逃げ込んでしまった。もっと交通が発達して全日本が新開的遊園地と化けてしまう日が来たら、神様も幽霊も昆虫も草木も、皆悉く昇天するかも知れない。
さて、私もまた、自然を荒すであろうところのデイゼルエンジンの小刻みの近代的な震動と、その事務長であったところの絵の好きなI氏の誘惑に乗って去年の夏、南紀の海と山を味わって見た。