후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,758자 · 383화면
危地は決して脱していない。むしろ反対に、光春の危険は加わった。混乱の重囲から、完全な重囲のうちへ移って来ただけのものである。
こういうとき慌てふためくと、後々までの語り草になされる。包囲している敵の意志も、
(左馬介光春が、どういう死にざまをするか、これは見ものである。見ていてやろう)
というような落着き払った意地悪さを示しているのだ。どう緩慢に放っておいても、所詮は檻の中のものに等しい。左馬介が逃げきれるものではない――という自信たっぷりな気持を前提としてであるということはいうまでもない。
「叱いッ……」
光春も悠々たるものだ。手綱の一方をぐいと挙げて、馬を叱った。無理にここで馬を止めたはずみに、馬の前肢がやわらかい田土にふかく入ってしまっている。その前脚を怪我なく抜かせておもむろに馬首をめぐらすためだった。
駒は、田と小川のあいだを、ゆるやかに湖のほうへ向って歩み出した。
軽い速度になって、しきりと鬣を振りながら、白い泡を口輪に吹いているのは、なお馬が悍気をしずめていない表情である。光春の手綱は、努めてそれを宥めながら歩ませていた。
びゅんッ――と、一矢、風を截って、彼の面と鬣のあいだを通った。