후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,758자 · 383화면
しかしどんな名馬でも、その馬をして長く疲れぬように乗りこなすには乗人の如何によるこというまでもない。
弓太刀の表芸以上、当時の武将が騎馬を重んじていたことはいうまでもないが、特に光春は馬術熱心だった。このことについては、青年時代秀吉とのあいだに一挿話も遺しているが、いまはそれをいっている遑はない。――いま彼が馬首を向け直した湖上から斜めに見ても、彼方なる坂本の城は、なお目づもり約半里の余はある。そこまでよくこの馬が耐えるや否や。また、世の笑い草になるかならないかの衆目もある。光春としてもまさに畢生を賭していたにちがいない。
ただ見る眼には、いちめんの湖でしかない広さにも、その水底には深浅があるということはいうまでもない。
左馬介光春は、よくそれを弁えていた。
安土を出たときから、死を期していた今日ではあるが、彼は本来の性格としても飽くまで無謀や愚挙はやらない人である。その点、従兄弟の光秀よりは、彼のほうが遥かに徹底した理性家であったといってさしつかえない。なぜならば光秀は生涯の完成にあたって、ついにみずから信ずるところの教養も忍耐も一挙に自身で破摧してしまったが、左馬介光春はといえば、なおこの期になってもその自己を――敵軍すべて取り囲む琵琶の湖中においてさえも――珠の如く愛でて持っている姿であった。