후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,758자 · 383화면
安土滞陣もわずか二日だった。船列はふたたび湖を北した。秀吉はいよいよかつてのわが家たる長浜の城へその本軍をすすめた。
城は無事だった。敵影もなく、すでに味方の兵も入っている。
ここへ金瓢の馬簾が上がると、城下の民は狂舞して、彼が船から城へ通る道すじへ溢れ出て来た。女も子供も年寄も土下座して迎えた。涙して顔をあげ得ない姿もある。歓呼して手を振るもあった。われを忘れて踊り出す領民も見えた。
(よかったよかった。みな息災でうれしいぞ。お前たちもよく怺えた。わしもこの通り達者だぞ)
秀吉の眼はそういっている。領民の熱意にこたえるため、かれはわざと馬上で通った。こういうときの領民は国主の慈眼を読みとることに甚だ賢い。語らずといえども領主の心はよく知るのである。
が、秀吉には、重大な不安も残っていた。長浜城へ入ってからそれはなお濃いものになっていた。一刻も晏如としてはいられない寂しさと焦躁にかられていた。
「知れたか。――母上の御安否は?」
ここの本丸に坐ってからは、出入する諸将にたいして、彼はたえずこう訊ねた。――明智軍の襲撃にあうまでは、この城中につつがなく暮していた老母や妻などの身の上がにわかに案じられ出して来たのであった。