일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,758자 · 383화면

아오조라 문고

それは夜半をすぎた丑の正刻であったから。

総軍引きあげ準備を命じておいた秀吉は、いよいよ持宝院を出て、

「直ちに発足」

を伝えさせ、念のため、もういちど伝令をもって、

「毛利方に何の異状も見えないか」

を殿軍の森勘八に問い合わさせた。なお、その間にも官兵衛孝高を招いて、

「すぐ、諸所の堰を一斉に切れ」

と、命じた。

孝高はこれを家臣の吉田六郎太夫に託し、六郎太夫は駈けて山つづきの蛙ヶ鼻へいそいだ。

六郎太夫は水攻めの築堤工事に当った奉行人のひとりだった。去月十九日にそれが成ってからちょうど半月目である。満々百八十八町歩にみなぎらした水は、思えば偉大なる歴史を劃した時代の分水嶺でもあった。

その水は、四日の和議締結とともに、一部の堰を落して少しずつ減水を示していたが、今や十数ヵ所にわたる大堰を一時に切り落して、もとの高松盆地に回そうとするのである。彼は蛙ヶ鼻の岩頭に立って、部下の兵が灯してさし出した松明を両手に持った。

ふたつの松明は。

颯、颯、颯――

と三度ほど、六郎太夫の手に振られて、美しい焔の線を闇に描いた。

それは鮮やかに、原古才から福崎までの長堤一里に待機していた味方の見張小屋から見とどけられたに違いない。