후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
吉川 英治의 新書太閤記(しんしょたいこうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,758자 · 383화면
中には、朝陽に向って、馬簾を打ち振る隊もあり、一斉に槍の穂をさし上げるのも見え、いななく馬の意気までが、すでに北勢明智光秀の軍を呑んでいた。
一路、摂津に入り、尼ヶ崎に着くまでは、これまでの急行軍とひとしく、落伍する者は捨て去り、人馬ともに息を休めず、敢えて隊伍諸卒の整列や規矩にとらわるるなく、ただ、急ぎに急ぐことを旨として来た。
尼ヶ崎に着いたのは、十一日の早朝だった。際限なくなだれ入って来る軍隊に戸を開けたばかりの民家はただ目を瞠りあっていた。
秀吉は路傍に馬を止め、
「禅寺でもないか」
と、休息する場所を求めさせていた。
「あれに一小庵がございます」
と指さす小姓を案内に、海道から少し横道へ入って、附近の松原に馬を繋がせた。
「どこでもいい。どこでもかまわん」
秀吉は頻りに云っていた。なぜならば仰天して迎えに出た和尚も左右の者までが、余りに何の設備もない小寺に過ぎないことを諄く言い訳するからだった。
「上がるぞ」
彼はもうそこの濡れ縁を上がって、気に入った部屋の一つに坐りこんでいる。堀秀政もつづいて坐す。諸将、小姓などはそこには詰めきれないので、裏から表まで、ある限りの空地を占め、この小さい禅寺の内に人々はなく、人々の軍中に禅寺があるような恰好になってしまった。