후리가나로 읽는 일본 고전
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
山本 周五郎의 樅ノ木は残った(もみノきはのこった)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 167,285자 · 330화면
空には星も見えず、暗い足元を拾うように歩きながら、甲斐はしきりに口の中で、しまった、とか、どうするか、などと呟き続けた。
――藩主毒殺の陰謀があった、などということが公表されれば、雅楽頭は老中を駆って伊達家に手を付けるだろう。
いかなる手段によっても「置毒」のことは隠蔽しなければならない。それは絶対の条件であるが、河野父子と料理人は、すでに処刑されてしまったという。処刑をいそいだのは、むろん一ノ関であろう。一ノ関はこれを「もの」にしたかった。幼君毒殺の陰謀、弑逆という事実を以て、六十万石分割の機会にしようとしたのだ。その野望はいちおうくい止めた。一ノ関は置毒の事実がなかった、ということに同意した、しかし、医師親子と料理人はすでに処刑されている。それをどうするか、この五人の断罪をどう糊塗するか。――塩沢家の前には、提灯を持って人が待っていたが、甲斐はその前まで来て、またしても、低い呻き声をもらした。
提灯を持って待っていた男は、「組士の菱本市之丞というものである」と名のった。組士は下士で、徒、小姓組、徒組、鷹匠組、給主組などがこれに属している。あとでわかったのだが、市之丞は丹三郎の母たつ女の甥に当っていた。