후리가나로 읽는 일본 고전
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
橘 外男의 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇(いきふどう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 198,400자 · 387화면
そして、返事もしなければ、夫人にあいさつもせず、さっさと下駄をはいて、そのままあとをふりむきもせずに、雨のなかをかえっていってしまったというのです。
「ほんとうに恐ろしくて、わたしふるえてしまいましたわ」
「うむ、山奥の婆さんだからね、礼儀もなにも知らないのだろう。……それにしても、ぼくたちふたりして眠りこんでしまうなんて、ふしぎだね。……なんだか怪談みたいだね。ふしぎな晩だよ。おまけに雨がショボショボふって、まるでむかしのおばけ話にそっくりじゃないか!」
と博士はべつだん気にもとめず、腹をゆすって、笑いだしました。
五郎丸もほえるのをやめたらしく、そとの雨脚だけが、だいぶ烈しくなってきたようすです。
「この雨じゃ今夜はもう患者もこんだろう。どれ、一風呂浴びてくるかな」
と、博士は、ウーンとひとつ伸びをしてたちあがりましたから、それでこの話もそれっきりになってしまいました。
が、いまから思えば、もしこのときに博士や夫人が、もうすこしこの老婆のあやしいそぶりに気をくばって、そして老婆のおそろしい正体に、たとえすこしでも気がついていられたら、まさか、あんな悲惨な目にもあわなかったのではあるまいかと、なにかそのてんに心のこりなものが感じられてなりません。