후리가나로 읽는 일본 고전
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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
永井 荷風의 江戸芸術論(えどげいじゅつろん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,130자 · 167화면
故に唯だ広重が好んで同じ場所をば幾種となくさまざまに描きなしたる重なる図を採りて更にその中の二、三を選ぶこととせり。
先江戸大城に近く、外桜田の弁慶堀より大名屋敷の白壁打続く霞ヶ関の傾斜は広重の好んで描きし地点なり。一つは夕立晴れたる夏の午後と覚しく、辻番所立てる坂の上より下町の人家と芝浦の帆影までを見晴す大空には忽然大きなる虹斜に勇ましく現はれ出たる処なり。されど道行くものは子供をつれ傘打ちつぼめし女の外には誰一人この美しき虹には気も付かぬ様子にて、大小に羽織袴の侍も小紋の夏羽織の町人も本家枇杷葉湯の荷箱また団扇の荷を担ぐ物売の商人も、皆大なる菅笠に顔をかくし吹風に烈しくもその裾を打払はれ聊か行悩める如き有様を見せたり。これ坂の上の甚高きことを想像せしめんとする画家の用意の周到なる所なるべし。他の一図は次第に高くなり行く両側の御長屋をばその屋根を薄墨色に、その壁を白く、土台の石垣をば薄き紺色にして、これに配するに山王祭の花車と花笠の行列をば坂と家屋の遠望に伴はせて眼のとどかんかぎり次第に遠く小さく描き出せしものなり。上より見下す花笠日傘の行列と左右なる家屋との対照及びその遠近法はいふまでもなく爽快極りなき感を与ふ。