일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면

아오조라 문고

ところが、父は、かねて万一の場合のことを弁護士に託してあつたので、その弁護士からの呼び出しで、康子は、ともかく東京へ出て来た。そして、そのまゝ、いなかを引きあげることにしたのである。そういうわけで、現在、自分の実家には違いないが、いわば父の情婦であつた女と同じ屋根の下に住み、そのうえ、町内のり災者だという二家族にいくつかの部屋を占領され、それはそれでいゝとして、彼女は、息子のモトムと二人、二階の寝室二部屋とこの応接間とをわずかに自由に使える身分であつた。

が、そういうこまかい説明は、市ノ瀬牧人にする必要もなく、彼女はすぐに、言葉をついだ――

「でも、よく来て下すつたわね。どうかしらと、実は思つてたの」

「なんだか知らないけど、こいとおつしやるから出て来ました。どんなご用ですか?」

「それはまあ、ゆつくりお話しするわ。いまお着きになつたの?」

「けさ早く着いたんですけれど、宿をきめとく方がいゝと思つて、友達のところへ寄つて来ました。二三日は泊めてくれるでしよう」

「あら、どんなところでもよければ、うちへ泊つていたゞくんでしたのに……。これでもいなかの暮しよりはすこしはゆつくりしてますのよ」