일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면

아오조라 문고

四

ところが、今日はじめて、彼女の知性が彼の頭脳にいどみかけたのである。それはまつたく不意打ちと言つてよかつた。だからこそ、彼は、受身の立場で応戦しなければならなかつた。かすり傷までは負わぬにしても、余計な神経の疲れがおりのように残つたのである。

四

市ノ瀬牧人は、父が製糸に手を出して失敗し、ひろい土地屋敷をあらかたなくしてしまつたので、今は母と二人で主食以外のものは自給できる小じんまりとした生活をしているのであるが、母は父の死後、一人息子の彼に頼りきりで、早く身を固めさせる算段ばかりしていた。年ごろの娘ならいくらでもあるという時勢に気をよくし、彼女は、あれはどうか、これはどうかと息子の気を引いてみるのだが、彼は、いつこうこの話には乗ろうとしない。

「まつたくお前というひとの気が知れんに。しまいに残りもので我慢せにやならんようになるに」

「いゝよ、おつ母さん、そんな心配せんでも……。女の子はあとからあとから生れて来るもんだで」

そんなふうに彼はごまかして母親の口をつぐませはするが、なにしろ毎日顔をつき合せている間柄なので、あの手この手で攻めたてられるのには、彼も少々業をにやしはじめた。