후리가나로 읽는 일본 고전
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면
八
一番わるい結果が君をおとずれるかも知れない。その時はまた、その時の話さ。人間は自分だけの力で生きていけるよ」
八
泣く顔をやつと見られずにすんだ、と彼女は思つた。
尾関との話は、たいてい、彼の生死不明の細君のことか、そうでなければ、彼女のまだ帰らない愛人のことから、だん/\に発展するのが常であつた。もちろん、どつちからも直接そんな話題をもちだすわけではないが、たとえば、尾関が下宿の殺風景なことを言いだすと、彼女は、彼が家庭をもつていた時分を想像して、それとなく同情の言葉をはさむし、彼女が信州の山々に春がくる時分の話をもちだすと、彼は、ふと、その季節を美しく歌つた浜島の詩がたしかあつたなどと、なにげなく言い、戦場にあつてふるさとを想いえがくすべての兵士の心理をおもしろおかしく語りだすといつた具合である。
きようはしかし、尾関は、それきり、口をあまりきかず、彼女が露店で買つた果物の包みをそこへ出すと、たゞ、低く、――ありがとう、と言つて、眼をつぶつてしまつた。
まくらもとに体温表がおいてあるので、手もちぶさたな彼女は、それをとりあげてみる。病名のところに「軟性下疳」