후리가나로 읽는 일본 고전
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면
三
たゞおなじことは、退くよりも進むことをえらんだというだけである。
彼はしばらくいなかにとゞまつて「何をなすべきか」をゆつくり考えることにした。おぼろげにではあるが、彼にも日本の向うべき方向はわかつていた。そして、その歩みをさまたげるものが何であるかということもほゞ察せられた。彼はまずなによりも自分を新しい人間に鍛えなおす必要を感じた。彼はどんな場合にも「自然」であろうとつとめた。「自然」であるためにどんなに勇気がいるかを彼はつく/″\思い知つた。
そういえばまつたく日本の社会は「不自然」で埋められているといつてよかつた。そのことを彼は五年間の異民族との接触ではじめて知つたのである。
三
市ノ瀬牧人は劇場で行列を作つている群集のなかに知つている顔をみつけだす興味から、つぎつぎに眼をうつしていくうちに、同村の一青年が彼の視線をまぶしそうに避けながら、連れの少女をそれとあからさまにさとらせまいとしてうろ/\し、連れの少女はまたなにが恥かしいのかいきなりたもとで顔をかくしてしまうのをみて、そこにもひとつの小さな「不自然」をみつけだした。
彼はしかしそれ以上この青年にものを言う気にもならず、ふと劇場の二階の窓に眼をうつした。