일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひのとびら

火の扉

岸田 国士

岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면

아오조라 문고

が、現在の彼は、復員庁の一職員として専らH工しようの連合国への引渡事務に当り、同時に、彼の関係した重要研究の資料を整理して提出する特別な任務もあつた。

既に解体を終り、ガランとしたこの工しようの一室で、井出一徳元大佐は、妻康子の到着を待ちうけていたのである。

彼はたつたいま起きたばかりで、ワイシャツを着、乗馬用の「短こ」と呼ばれるズボンをはき、次でえり章を外した軍服に腕を通したところである。

きのうの午後いつぱい手をあけて待つていたのだが、終電には部下の一人を駅まで出し、夜道の案内をさせるつもりであつたところ、線路の故障で下りはもう来ぬという駅員の言葉に、出迎えはそのまゝ引つ返して来てしまつた。そういうわけで、妻がこんなに早朝から訪ねて来るとは思つていなかつた。康子の姿がドアの陰にみえると、彼は、

「おや、どうしたんだ? 何時に着いた?」

と浴せかけた。

康子はその調子に慣れているので、先づゆつくり頭をさげ、電車の故障で五時着のはずが九時になつてしまつたことゝ、駅で夜が明けるのを待つよりしかたがなかつたことを告げ、

「まだすこし早すぎると思いましたけれど、どこつて別に休むところもありませんし……」