후리가나로 읽는 일본 고전
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면
だつた。ところが、ちようど太平洋戦争の始まる年、I市の本屋の店先でふと口を利いた一青年浜島茂と何気なく交際をつゞけているうちに、互に心をゆるし合う間柄となり、たま/\戦争がおこると同時に、その青年にも召集令状が来た。まだ双方の親元は正式に承知をしたわけではないが、本人同士は、かたく将来を約して別れたのである。
「心ならずも、」商業学校を出たという浜島茂は某製糸会社の事務員で、何よりも、無名の詩人として、北原ミユキはその清純な詩風をまず愛したのである。
彼女にとつて、詩人は夢想家であり、彼女を生み育てた土地にいちばん欠けているのは詩であり、夢であつた。彼女が革命を叫ぶのは、自分たちが満足に食べられないからばかりでなく、自分たちは満足に食べること以外を考えなくなつているからであつた。
ハザの上に盛り上つた稲の穂、軒端に満艦飾のようにつるされた干ガキ、大豆の山、大根畑の波……秋のみのりの豊かさにほゝえむ人々の顔が、彼女には、時としてあさましく思われた。
向うから牛車が一台、うず高く米俵を積んで来る。供出の新米であろう。
「ご苦労さま」
と、彼女は道を譲りながら引き子に声をかけた。