후리가나로 읽는 일본 고전
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ひのとびら
火の扉
岸田 国士
岸田 国士의 火の扉(ひのとびら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 129,467자 · 257화면
十
十
井出一徳が自決するつもりでいると、夫人の康子から直接打ち明けられた中園三郎が、その時、どんなふうに出たかは、こゝでこま/″\と言う必要はない。
それは、康子がうす/\期待していたとおり、そんな行動は絶対に思い止まらせなければならぬと言い――もし彼女の力でだめなら、自分が自分流に情理をつくして説いてみる、と、進んでこの難役を買つて出た。
「では、もう上りが来る時間ですから、これで失礼します。鎌倉へ寄るまでに、私、この足で大佐殿にお目にかゝつて参ります」
そう言いすてゝ、駅の改札口へ姿を消すまで、康子はほつとした思いで中園を見送つていた。
夫の後輩とは言いながら、自分よりも七八つ年上のこの中園が、頼もしい弟のようにみえるのはなぜであろう?
そう言えば、中園に限らず、決して広い交際ではないが夫の周囲のだれかれ、官等や職務の上下を問わず、彼女などに対して示す一種の親身な、それでいてちやんと礼にかなつている態度を、康子はほかの社会にみられぬ軍人特有のものときめていた。夫の一徳でさえ、妻の自分にはいつこうに不愛想で、時には暴君そのまゝの行状を示すのに、よその細君に対しては、寸分もすきのない紳士振りである。