일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

岡本 綺堂의 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選(ひだのかいだん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 130,271자 · 263화면

아오조라 문고

(五十六)

これと聞くや重太郎は俄に顔色を変えた。彼は懐中から秘蔵の洋刃を把出して、例の「千客万来」の行燈の火で屹と視た。

雪には少しく風が交って来た。

(五十六)

燐寸を盗む為に里に出た重太郎は、今や柳屋の門に立って、思いも寄らぬ秘密を聴き出したのであった。彼は理由を能くも糺さずに、彼の怪しき坑夫体の男を母の仇と一図に思い定めて、其場を去らずに彼を刺止めた。これで復讐の役目は果したものと信じていた処が、今この人々の話を聞くと、それは自分の思い違いで、当の仇は角川市郎であった。自分に取っては恋の仇とも云うべき角川市郎であった。重太郎は驚き且怒って、思わず拳を握った。

母の仇は必ず討つと、彼は曩の日お杉に誓ったのである。其仇の名は今やお葉の口から洩れた。気の短い重太郎は既う一刻も猶予はならぬ、仇の血を衂るべき洋刃を把出して、彼は俄に身繕いした。奥では又もやお葉の笑い声が聞えた。が、恋しい人の媚かしい声も、熱したる彼の耳には既う入らなかった。復讐の一念に前後を顧みぬ重太郎は雪を蹴立てて手負猪のように駈け出した。

角川の家では未だ眠らなかった。市郎の傷も漸く癒えて、此頃は床の上に起き直られる様になったので、看病の冬子は一旦わが家へ帰った。