후리가나로 읽는 일본 고전
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
吉川 英治의 剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 150,635자 · 306화면
典膳を見かけて、若い方の連れが、
「この町に旅籠はないか」
と、訊く。
礼儀のない訊ね方に、典膳も簡単に、
「旅籠はないが、寺はある」
と、教えてやると、また寺の名をたずね、ありがとうともいわずに、先へ行く老武士のあとを追って立去った。
典膳も同じ方へ歩いていたので、自然、二人の後ろ姿を観察していた。何かしら急に大股にいそいで、その老武士の面を、正面から見たいような衝動に駆られだした。それほど一方の年老ったさむらいの後ろ姿には、いぶかしい力の魅力と重厚な線の美があった。
美といっては、或いは、誤る惧れがある。衣飾の美や皮膚の美ではない。着ているものは、胴服の継ぎはぎした物。穿いているのは染色も分らなくなっている革の膝行袴にすぎない。長やかな腰刀だけに鞘の塗りの剥落しているのが目にたつ。
主人か、師匠か、長上の老人すらこの装いであるから、以てその尻えに従ってゆく若いほうの旅支度ときたらそのお粗末さは想像がつこう。――しかしまた、その垢じみた、被服大小たりとも、見すぼらしくは見えない程、この二人の濶歩には、悠々とした気概があり、堂々とした構えがあった。