후리가나로 읽는 일본 고전
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けんのよんくんし
剣の四君子・日本名婦伝
吉川 英治
吉川 英治의 剣の四君子・日本名婦伝(けんのよんくんし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 150,635자 · 306화면
女同志の慰めは、ずっとずっと、後にしよう。自分から先に泣いたり取乱れたりしますまい。今はただ与倉中佐の危篤を告げるのみでよい。最高な誉れを伝える厳かな軍務のひとつとして行えばよい。――が、そうできるか否か。
神のちからを彼女は祈った。――そして産室へしずかに入って、鶴子夫人の枕頭に立つと、彼女はまったく自我もなかった。国の御為にのみある生命の一つに、同じ生命の一つが、天に代って、冷静に、ありのままを伝えるという姿となり得ていた。
「奥さま。……与倉知実中佐の奥さま。中佐はいま、庭向うの病棟に運ばれていらっしゃいました。御戦死です。……が、かすかにまだ御意識はあります。嬰児さんを見にここまでお立寄りになったのでございましょう。あなたは動いてはいけません。そのままで中佐の名誉な御最期へお胸のうちで万歳をおとなえ下さい。嬰児さんを、あなたの代りに抱いて行かせましょう。そっと軍医正におあずけください」
「…………」
二十秒ほど、産婦は睫毛もしばだたかなかった。――やがて、そのまま、
「どうぞ」
と、かすかに頷いた。
軍医正は、散らんとする花にでもさわるように、産衣にくるまれた子を、産婦のそばからそっと取って抱いて行った。