후리가나로 읽는 일본 고전
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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
島崎 藤村의 夜明け前(よあけまえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 205,629자 · 408화면
半蔵は家に戻ってからも、よく周囲を見回した。妻をも見て言った。
「お民、ことしか来年のうちには、お前も本陣の姉さまだぜ。」
「わかっていますよ。」
「お前にこの家がやれるかい。」
「そりゃ、わたしだって、やれないことはないと思いますよ。」
先代の隠居半六から四十二歳で家督を譲られた父吉左衛門に比べると、半蔵の方はまだ十二年も若い。それでももう彼のそばには、お民のふところへ子供らしい手をさし入れて、乳房を探ろうとする宗太がいる。朴の葉に包んでお民の与えた熱い塩結飯をうまそうに頬張るような年ごろのお粂がいる。
半蔵は思い出したように、
「ごらん、吾家の阿爺はことしで勤続二十一年だ、見習いとして働いた年を入れると、実際は三十七、八年にもなるだろう。あれで祖父さんもなかなか頑張っていて、本陣庄屋の仕事を阿爺に任せていいとは容易に言わなかった。それほど大事を取る必要もあるんだね。おれなぞは、お前、十七の歳から見習いだぜ。しかし、おれはお前の兄さん(寿平次)のように事務の執れる人間じゃない。お大名を泊めた時の人数から、旅籠賃がいくらで、燭台が何本と事細かに書き留めて置くような、そういうことに適した人間じゃない――おれは、こんなばかな男だ。