일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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みっつのあざ

怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集

小酒井 不木

小酒井 不木의 怪奇探偵小説名作選1 小酒井不木集(みっつのあざ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 196,140자 · 396화면

아오조라 문고

である。

私の家にはたった一つ、代々伝わる家宝がある。それは何人が書いたともわからぬ「金毘羅大神」の五字を横にならべた長さ五尺ばかりの額で、よほど昔のものと見えて、紙の色は可なりと古びて居るが、墨痕は、淋漓とでも言おうか、見つめて居ると、しまいには、凄い様な感じの浮ぶほど鮮かなものである。常々両親はどんなに家がおちぶれても、これだけは売ってならぬと口癖のように言って居たので、上京するときも私はそれを持って来ることを忘れなかった。そして、さしずめ、芝区の知己の家に寄寓し、間もなく、その附近に、周囲が庭でかこまれた、小ぢんまりした家を借り受けて自炊生活を営み遊んで居るのも勿体ないと思って、某会社につとめることにしたのである。「金毘羅大神」の額は座敷兼茶の間に飾ることにしたが、この額が後に私の身の破滅を導こうとは、その当座、夢にも思わなかったのである。

さて会社につとめるようになって間もない時分は、何の事件も起らなかったが、ふと私が、カフェーの女給と馴染んで同棲するようになってから、私の身の上に不幸が湧いて来たのである。カフェーで交際して居た頃は、彼女はおとなしい気立のよい女であったが、一しょになって見ると、幻滅の悲哀とでも言おうか、私の心に十分な満足を与えてはくれなかった。