후리가나로 읽는 일본 고전
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
大杉 栄의 日本脱出記(にほんだっしゅつき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 76,254자 · 151화면
二
その翌日は、九州の郷里に帰っている女房と子供とを呼びよせに、Mを使いにやった。関西支局のWも女房や子供と前後して上京した。
準備は何にも要らない。ただ小さなスーツケース一つ持って出かければいいのだ。が、その前に、正月号の雑誌に約束した原稿と、やはり正月に出す筈のある単行本とを書いてしまわなければならない。そんなことで愚図愚図している間に、もう暮れ近いことだ、ようやく貰って来た金が半分ばかりに減ってしまった。そして、それをまたようやくのことで借り埋めて、十二月十一日の晩ひそかに家を脱け出た。
二
家を脱け出ることにはもう馴れ切っている。しかしそれも、尾行をまいて出ることがすぐ知れていい時と、当分の間知れては困る時とがある。前の場合だと何でもないが、後の場合だとちょっと厄介だ。
去年の夏日本から追放されたロシア人のコズロフが、その前年ひそかに葉山の家から僕の鎌倉の家に逃げて来て、そしてそこからさらに神戸へ逃げて行った時には、そのあとで僕は三日ばかり時々大きな声で一人で英語で話していた。が、二、三日ならそんなことでもして何とか胡麻化して行けるが、一週間も十日も胡麻化そうとなるとちょっと困る。