후리가나로 읽는 일본 고전
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にほんだっしゅつき
日本脱出記
大杉 栄
大杉 栄의 日本脱出記(にほんだっしゅつき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 76,254자 · 151화면
牢屋の歌
一
パリに
すきなこと二つあり
女の世話のないのと
牢屋の酒とたばこ
へたな演説には、きっと長口上の、何やかの申しわけの前置きがある。歌だってやはりそうだろう。と、まず前置きの前置きをして置いて、さて、そろそろと長口上に移る。
パリの女の世話のないことは、前の「パリの便所」の中で話した。が、そこでは、物がちょっと論文めいた形式になったために、大分かみしもをつけて、その中の「僕」という人間がいつもその世話のない女を逃げまわっているように体裁をかざっていた。
が、体裁はどこまでも体裁で、事実の上から言えばそれは真赤なうそだ。逃げまわっていたどころじゃない。追っかけまわしていたくらいなのだ。
その追っかけまわしていた女の中に、ドリイという踊り子が一人いた。バル・タバレンと言えば、パリへ行った外国人で知らないもののない、あまり上品でない、ごく有名な踊り場だ。そこの、と言ってもちっとも自慢にならないのだが、とにかくそこの女の中でのえりぬきなのだ。
僕はその踊り場のすぐそばに下宿していたのだが、どうもパリは危険らしい様子なので、三月のなかばにこのわかれにくいドリイにわかれて、リヨンへ逃げた。